ニューヨーク出身のSofia Nebioloとパリで生まれ育ったHaydee Touitou、Sarah de Mavaleixの仲良し三人組がつくる本誌。時系列(原稿納品順)で構成する「TIMELINE OF CONTENTS」と題した目次がユニークで、あらかじめ順序を決めるのではなく自然と積み重なるように編集するスタイルでもおなじみだ。“Chronicles”とつけたタイトルに込めた思いは、同じ時代を生きる人々の視点を反映させたいと考えたから。
過去の表紙では、スカートを纏う(例外にパンツの号もある)女性の顔が隠されていたことにお気づきだっただろうか。映画「愛の嵐」でのスタイルがあまりにも有名なCharlotte Ramplingのフォトストーリーが展開されるが、つくり手の彼女たちがCharlotteの持つエレガントさと優雅さ、そして強さへの憧れがあるからこそ、創刊以来初めて表情を露わにする表紙が生まれたようだ。また、Charlotteのポスターも付属する。
6号にも登場したバルテュス夫人で画家のセツコ・クロソフスカ=ド=ローラが親交のある2人に宛てた手紙の公開や、岡倉天心『茶の本』の引用から始まる建築家の隈研吾へのインタビュー、沖嶋信による京都のランドスケープ・フォトなど、日本好きなつくり手たちの思いがコンテンツからも溢れる。その他、アーティストのBrice MardenやEric N. Mackへのインタビューも収録。
私が特にお気に入りのページ、「Addresses」では、なんと今号から店名の表記が一切なくなった。潔いコピーと緯度・経度のみで記されるそれに思わず唸った。冒頭で「暗号通貨のように変化していく」と締められている通り、少しずつ形を変えながら歩みを進める本誌から今後も目が離せないだろう。
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※『GINZA』でのウェブ連載vol.9で紹介しました