いくつもの月曜日(Lobsterr Books #1)

3,520円 (税込)

  • 創刊年
  • 2021年
  • サイズ
  • 130mm×193mm
  • 発行部数
  • 1,000
  • 発行年
  • 2021年
  • Japan
  • 出版社
  • Lobsterr Publishing
  • 仕様
  • ソフトカバー/304p


 ニュースレターは雑誌のようだ、と思う。月曜日、朝7時。もう2年以上も毎週メールボックスに届く『Lobsterr Letter』は、私にとって週のはじまりにほんのりと彩りを添えてくれるような雑誌だ。「時代と社会の変化に耳を傾けるメディアプラットフォーム」と謳い、ニュースレターの他にポッドキャスト番組『Lobsterr FM』やプレイリストも配信するLobsterr。運営者の佐々木康裕さん、岡橋惇さん、宮本裕人さん(当時)の3名は、始めるまで各々面識がなかったといい、現在も別々の仕事をしている。年齢もバックグラウンドも違う御三方が奏でる心地よい音楽のようなアウトプットは、私の視点を大きく広げてくれた。以来、Lobsterrから受けた影響は計り知れないものがある。
 『Lobsterr Letter』の三本の柱は、3名が順番に執筆をする冒頭の「Outlook」と世界中のニュースをキュレーションした「What We Reed This Week」、気になる世界のニュースを一言で紹介する「Cool Things of The Week」。本書は、2019年3月の創刊から2021年初めまでの約2年間に配信された「Outlook」の中から50本を厳選し、まとめたものである。加えて「Lobsterrについて」というテーマで書き下ろした読者5名による寄稿と佐々木さん、岡橋さん、宮本さんによるあとがきも収録。読み手のことを考え抜いたであろう造本設計にも脱帽した。表紙と背表紙に触れる手のひらの心地よさに驚いたのはいつ振りだろうか。デザインは、2021年夏よりアートディレクターとしてLobsterrに参加した、井上麻那巳さん。
 奇しくも創刊1年でコロナ禍に突入したことで、激動の時代に何を考え、何を読み(観て)、どのように生きてきたのかを表した記録のような側面も持ち合わせている。私は各々のパーソナルな視点から、誰かの声に耳を傾けることや、声なき声に想像を巡らせることの重要性に気づかされた。自分がどれほどの固定観念に囚われていたのかとハッとした。スコールのように情報を浴びせられている私たちは大事なものを見落としていないか。そんなことを改めて考えるようになったのもLobsterrを読み始めてからである。
 あくまでもこの本は出発点であり、これから拡張していくであろうLobsterrの活動が楽しみで仕方ない。収録されているOutlookの「すてきな共犯関係」にあるように、それを支えるのは読者だと思う。書き手と読み手の関係性をなくしてLobsterrは成り立たないだろう。月曜日を迎えるたびに、文末のイニシャルを確認しなくても誰が書いたか冒頭でわかるようになった。書き手の趣味思考がいつもほんのすこし顔を覗かせるから。連続するものを読み続けていく愉しみはここにもある。


※Lobsterr Letterはどなたでもご登録が可能です。詳しくはこちらからどうぞ