旅に行きたい、と思う。
『SAUNTER Magazine』は、某出版社での在職中から東京と屋久島の二拠点という驚きの生活を始め独立したバリバリの関西人、国本真治さんが創刊させた雑誌。屋久島を拠点とする出版レーベル「Kilty BOOKS」として本誌の他、写真集も制作している。ちなみに、屋久島ではヨガスタジオを併設した宿も営み、今も東京と屋久島を行き来しながら生活。その暮らしぶりも興味深いが、国本さんが虜になった屋久島をはじめとする世界各地の魅力を、国本さんなりに届けたいという強い思いがひしひしと伝わる雑誌だ。
前号は写真集のように紡がれていたが、今号はエッセイやインタビューによりページが割かれ、フォトストーリーとのバランスが絶妙。石川直樹さんの写真にアーティストのGOMAさんのアートワークをエンボス加工した表紙デザインもファンにはたまらないだろう。18歳の時に初めて屋久島を訪れたという石川さんは冒頭で「はじまりの島」と題したエッセイを寄せている。ライターの大石始さんが聞き手を務めたインタビューも必読。他、アシュタンヨガ正式指導者の更科有哉、プラントハンターの西畠清順、フリークライマーの野口啓代などによるエッセイも収録。
国本さんがエディターズレターで触れたインドでの出来事を読んで私もハッとした。利便性に埋もれた今の生活では気がつかないことが、別の場所へ足を運ぶことで浮き彫りになってくる瞬間があると思う。
だから、旅はいいものなのだ。
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