昔から雑誌が好きで、ずっと自分自身で編集・デザイン・出版を手掛けたいと思っていたベルリンを拠点に活動するアートディレクター、Hugo Hoppmanが創刊させた雑誌。“現在”という意味を持つ“PRESENT”は、“贈りもの”を表す言葉でもある。「現在自分自身が存在すること、今に感謝すること、仕事を贈りものだと捉えること」など、“現在”という言葉から広がる様々な意味が本誌のコンセプトにも繋がっている。
創造が生まれる背景を追い、そのプロセスにおける至福と葛藤に触れるインタビューを中心に編集される。コンテンツの前に「BREATHE」と題した「一度本誌を閉じて開き呼吸を整えて」というメッセージが表れるのもユニークだ。科学者Frank Berzbachの仕事と生活についての考察から始まり、映画監督のRegina Schilling、デザインコレクティブSTANDARDCLOTHING、アーティストTom Krol、クリエイティブデュオHaw-linなどベルリン拠点のクリエイターが多数登場。映画の中の芸術家について25の映画作品を取り上げたエッセイも必見。また、Hugoが現在の仕事に行き着くきっかけとなった『i-D』の創設者Terry JonesとTricia Jonesとの電話でのやり取りをテキスト化した記事からは、その時の興奮が伝わってくる。創設当時について惜しみなく語る2人の言葉は貴重だ。
「Stack Awards 2019 “Launch of the Year”」にもノミネートされた期待の1冊。