急速に進む都市化に対して、私たちが何ができるかを問いかける。都市を俯瞰して問うテーマに、アーティストや建築家、写真家が集う“場”のような雑誌だと思う。英語テキストに日本語訳が付属するという形態のため海外の雑誌だと思われている方も多いかもしれないが、編集長は京都生まれの生粋の日本人、辻村慶人さん。
2年振りの刊行に伴いエディトリアルデザインも一新した今号の特集は、シェルター。身を守るための場所という意味を持つシェルターという単語は、特に“3.11”以降の我々日本人にとって興味深いテーマではないだろうか。震災後に家を背負って歩くという驚きの行為を始めた村上慧さん、Buckminster Fuller(バックミンスター・フラー)が1947年に開発したジオデシック構造体から学ぶ現代にも通じる思想、建築家の坂茂さんの紙の家、アーティストMoon Kyungwonと建築家の伊東豊雄さんとの対談などからシェルターという形を考察していく。
巻末の“ROMANTIC GEOGRAPHIC ARCHIVE”では、2018年に大規模な回顧展が開かれたGordon Matta-Clark(ゴードン・マッタ=クラーク)と親交があった高橋尚愛さんによる「FOOD」についての話と当時の写真も収録。
デザインは、『POPEYE』などでもアートディレクションを手がけていた前田晃伸さん。