インディペンデントジャーナリズムと美しいイラストレーションを紹介するというコンセプトの本誌が拘るのが、リソグラフプリントだ。リソグラフの魅力は、“完璧”ではないところだと思う。所々かすれがあり、いい意味で少し“抜けている”。そこにあたたかみを感じるのは私だけではない気がする。きっとその特徴こそがデジタル全盛のこの時代に受けているのだろう、日本が生んだ印刷技法であるリソグラフプリントは海外での評価の方が高い印象がある。
“FLIGHT”をテーマにした今号は、イギリス国内最後の花火製造工場から歴史を考察する記事に始まり、あるジャーナリストが子ども時代に兄弟で誤ったフライトに搭乗してしまったがゆえに巻き起こった一連の思い出、イギリス・ブリストルの創業47年の熱気球メーカーへのインタビューなど、ジャーナリズムと謳うだけに堅めの内容が多い。そんな読みものとゆるさのあるイラストが隣り合わせになっているという、コントラストの強い誌面構成がユニークだ。
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※『GINZA』でのウェブ連載vol.5で紹介しました